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愛する電子カルテ FC21

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TOKUさん


FC21導入記

106回日本小児科学会学術集会が20034月に福岡で開かれて、電子カルテに関するワークショップが開催された。そこでFC21のβ版に触れることができて、是非導入したいと、開発の中心者である根東先生(東北大学)に連絡し、同年秋にデモ機を試用する機会を得た。受付と私は約30分の説明を受けて、翌日から実際の診療で使用した。10日間の試験期間であったが、使用期間が終わり、器機を引き上げることになったが、翌日からの診療で、再び紙のカルテに戻り、診療が辛くなった。200441日に正式販売が開始され、さっそく契約。FC21ユーザー第一号になりました。

 

FC21導入で、どう私の仕事が変わったか?

 

それを理解してもらうためには、医師の診療の過程、診療所の運営を理解して戴く必要があります。以下に書き出しました。

1.受付:受付で診察券、保険証などを確認(事務)

2.問診:症状、訴えを聴く診察室(主観的情報:Subjective

3.問診:過去の病歴、アレルギー歴などを確認する

4.問診:家族の病歴、アレルギー歴などを確認する

5.診察:身体所見をカルテに記載(客観的情報:Objective)

6.評価:上記の情報から考えられる疾患をリスト、問題を確認(評価:Assessment)

7.計画:リストにある疾患を鑑別するために必要な検査を実施、予定。
      患者さんに治療法を説明して、理解を得る。治療する。次回来院
      日などを予約する。(計画:Plan)

上記一連の医師による診療プロセスをSOAPと略し、紙カルテでも、この順番に記載する。これにより前医がどのように考えて診療したか、理解しやすいし、過ちを発見しやすい。また治療効果が上がっているか、評価しやすい。この方法をProblem Oriented System(POS)といいます。あるいは最近ではPatient Oriented Systemともいいます。

 

例)発熱、筋肉通、頭痛を訴えて来院(S)。診察所見は咽頭(のど)の軽い発赤のみ(O)。インフルエンザ、あるいは他の感冒?(A)。全身症状が強いのでインフルエンザと診断。元来健康な場合、抗インフルエンザ薬が必須ではないが、症状が和らぐまでの日数が1日短くなると説明。患者さんは「それなら抗インフルエンザ薬はいらない」。対症療法で経過を見ることにする。2日後に来院を指示。2日後の受診時。解熱、筋肉痛なし、頭痛なし、食欲良(S)。身体所見:特記事項なし(O)。軽快(A)。登校は明日から(P)。といったことを繰り返すわけです。

 

診療で得られる情報には「患者さんのことば」を「文字情報」に置き換えたもの。保険証、紹介状などの「紙、絵、写真など」レントゲン写真やCTなどの「マルチメディア情報」。診療で使用される情報も技術の進歩とともにいろんな形式の情報が溢れます。旧来の紙カルテでは対応できないものがあります。また紙カルテだと、医師が見ている間は事務や他の職員、病院であれば他科の医師が見ることもできません。例えば、心臓病で手術が必要な場合、心臓外科の医師がカルテを借り出して見ていると、小児科の医師は見ることができません。電子カルテなら、複数の医師あるいは病院職員が同時に見ることができるので、時間の無駄がありません。患者さんを中心にして多くの職員が関わる医療現場では「電子カルテ」は必需品です。

 

ここまでを読んで、聡明な貴方なら、電子カルテって「データベース」だ!と、思われるでしょう。そのとおりなんです。ですから、当初、電子カルテは「データベース」ソフトを利用して開発されたものが多いのです。しかし、ここで問題があります。医師のこれまでの紙カルテでの仕事が、電子カルテに移行するとき、普通のデータベースソフトでは「コンピュータ」の操作が必須なのです。アメリカではEMR(Electrical Medical Record:電子医療記録、電子カルテ)操作は、医師は行いません。皆さん、TVドラマの「ER」を見たことありますか?グリーン先生、カーター先生がパソコンのキーボードを叩いている場面なんてないでしょう?A4くらいのボードにつけた紙に、ボールペンで記載してますね?それを事務がコンピューターに入力するんです。できれば私の隣でキーボードをカチャカチャ叩いて入力してくれる医療秘書がいれば楽ですが、そういう教育を受けた人が少ない。そこで、日本では電子カルテ入力は医師が行っています。医師に医療以外のことをやらせるのは医療費の無駄かもしれません。医師に医療に専念させれば、コンピューターの画面を前にして不機嫌な医師もなくなり、患者さんにニッコリ対応できるでしょう、、これはまぁ、、夢ですね。

 

電子カルテを導入するとき、診療所は院長の采配ひとつで直ぐに実行できますが、問題はもちろんあります。もしこれまで全く紙カルテだけで運用していた場合、院長が使いたいと思っても、受付事務、看護婦さんなど職員の協力が必要です。パソコンおたくの院長がこれにしたい!といってもパソコン不得意な、つまりキーボード苦手の職員がいればなかなか導入が進みません。しかし、FC21はペンで全て操作できるので、導入時の職員教育に要するコストがほとんど不要です。これは大きな病院ほど大事なポイントでしょう。嫌いなキーボードでイライラしている職員がいれば患者さんの満足度も下がります。だいたいイライラしていて余裕のある、間違いの少ない、安全な医療がきるか、、なかなか難しいですね。

 

かなわぬ夢なら、せめて入力が楽しい、使うのが楽しい「電子カルテ」はないものか?あります。それがFC21です。筆圧の高い悪筆の私は、毎日の診療が終わる頃には右手の痛みがありました。カルテと処方箋書きのせいです。FC21試用期間中でもその日から右手が楽になりました。デジタイザーでなくキーボードでもできますが、キーボードの場合、マウスとの併用なので、右手をキーボード、マウスと持ちかえる必要があります。デジタイザーならペン1本で、FC21の全ての操作ができます。FC21の手書き入力は、データ入力とマウスの代用品というイメージでしか語られませんが、実は、その手書き入力のインターフェースは多機能で、単純にキーボードとマウスの置き換えではありません。いずれにしても成長しつづける多機能なFC21、使っていて楽しい毎日です。

 

ある商業医学雑誌の特集に「幸せの電子カルテ」という記事がありました。それには、その病院の院長、看護師長、事務長、そしてシステムを導入したIT業者の担当者がニコニコした顔写真が掲載されてました。で、私は単純に、、「なぜ、実際に毎日使っている医師の写真、言葉がないのか?」と。それはね、、きっと、、その病院の医師が幸せじゃないからじゃないか?医師が幸せでないと、、患者さんは不幸せじゃないか、、モニターを睨んでむっつりする医師、、そしてその前に座る患者さん、、、ぞーーとします。その特集の記事に医師のニコニコした写真が載った記事がでるようになれば、、それは本物の電子カルテであり、それこそ患者さんのための医療システムのIT化の成果でしょう。「患者さんのため、国民のため、という掛け声のもとに無理やり進める医療のIT化は無駄と危険に満ちたものでしょう。」

FC21導入の副作用は休日診療所での診療が辛くなったこと(苦笑)。